セルフメンテナンス
いつまでも快適な暮らしを続けるために
セルフメンテナンスをおススメするには、ちゃんと理由があります。
日頃からお手入れされているキッチンやトイレ、お風呂などの設備は、お手入れされていないものと比較すると使い心地が良くなり、壊れにくく寿命も長くなると言われています。つまり長持ちするということは、経済的効果も高くなるのです。そして何より、お客様が住まいで過ごす時間が心地良いものとなります。
更に、例えば木材のフローリングのお手入れを小まめにすると、時を経るごとに独特の風合いを醸し出し、ご購入時には無かった新たな感動を与えてくれます。これは住まいも生き物であるという何よりの証拠。愛情を持って接することで、時とともに住まいも成長し、そこに暮らす全ての人に感動と喜びを与えてくれるのです。
快適な暮らしをおくるために、セルフメンテナンスを心がけましょう。
目次
- 玄関のセルフメンテナンス≫
- 床(カーペット)のセルフメンテナンス≫
- 床(フローリング)のセルフメンテナンス≫
- クロスのセルフメンテナンス≫
- 開閉棚のセルフメンテナンス≫
- 窓のセルフメンテナンス≫
- キッチンのセルフメンテナンス≫
- トイレのセルフメンテナンス≫
- 洗面所のセルフメンテナンス≫
- お風呂のセルフメンテナンス≫
玄関のセルフメンテナンス
Q.ドアを開け閉めするとギイギイ音がする。
A.蝶番に油を注します。
ドアがギイギイ鳴ったり、スムーズに動かないときは、蝶番などの可動部分の油が足りていないので、注油すればスムーズになります。
錠前シリンダー部分(ドアノブがついているところ)には、注油しないように注意しましょう。故障の原因になります。
ドアクローザーのピボットヒンジ、そして蝶番に注油します。 また、錠の受け部分(ストライク)にも適宜油を注すとよいでしょう。
Q.ドアの蝶番やノブがガタガタしている。
A.ネジのゆるみを締める。
ドアがガタついていたり、ドアの一部がドア枠をこすってしまうような場合、蝶番の取り付け部分がゆるんでいることが考えられます。蝶番のネジをドライバーで締めれば直ります。ネジは時計回りにドライバーを回して締めます。
また、ドアノブがガタガタしているときには、ノブの取り付け部分がゆるんでいることが考えられます。やはりドライバーでネジを締め直しましょう。ノブのネジも、時計回りで締めることができます。
ドアの一部がドア枠をこすってしまうとき、蝶番が変形していたり、まれに玄関ドア自体の変形ということも考えられます。そのときには、専門の業者に連絡してください。
Q.ドアの閉まる速度を調節したい。
A.ドアクローザーを調節しましょう。
ドアクローザーとは、ドア内側の上部に取り付けられている自閉装置ですが、この速度を調節できることを知っておくと便利です。
速度の調節は、ドライバーで簡単に行うことができます。調整は微妙なので、少しずつ動かし確かめながら。
調節バルブが1つしかないドアもありますが、速度の調節の仕方は同様です。
カギがスムーズに回らない。
A.鉛筆の芯が役立ちます。
カギをカギ穴に差し込んで回そうとするとき、どうも引っかかるような、うまく回らないときがあります。そういうときには、鉛筆の芯をカッターなどで削り、カギに振りかけるか市販の潤滑剤(シリコンスプレー)を注入すればスムーズになります。
油は故障の原因になりますので、カギやカギ穴には絶対に注さないようにしましょう。
床(カーペット)のセルフメンテナンス
焼けコゲがついてしまったら?
A.“植毛”で直します。
たばこなどによる、ちょっとしたコゲあと程度なら、歯ブラシでこすってみましょう。下の(1)の作業だけですみます。ひどいコゲあとは、ほかから毛足をもってきて、植えこみます。下の (1) から (2) の順序で対処してください。
1.まず歯ブラシでこすり、よけいなコゲかすを取り除く。
2.カーペットになるべく近い毛糸を用意し、カーペットの毛足より長めに切る。家具の下など、隠れているところからカーペットの毛足を切り取ってきてもいい。
3.ようじなどを使って、毛を1本1本、木工用の接着剤でていねいに植えこんでいく。
4.接着剤が乾いたら、カーペットの毛足の長さにあわせて、はさみで切りそろえて完成。
シミがついてしまったらどうとるか。
A.以下の手順をふめば大丈夫です。
シミはなるべく速やかにとるのがコツ。ベンジン、粉末の中性洗剤(1%の水溶液にして使用)、瀬戸物の小皿、水、ティッシュペーパーを用意して、下記の順に作業をすすめてください。
1.まず、紙・布・ヘラなどをつかって、シミの成分をとれるだけ取り除いておく。
2.シミとりをする部分に掃除機をかけて、細かいチリやほこりを取り除く。
3.ティッシュペーパーを指でこまかく丸め、ベンジンをしみこませ、シミの部分に軽く押しつける。
4.そのまま2~3秒待ってベンジンをよくしみこませる。使い終わったティッシュペーパーは、小皿に捨てる。
5.こんどは乾いたティッシュペーパーを丸めたものをやや強く押しあて、ベンジンと汚れをいっしょに吸いとるようにする。
6.ティッシュペーパーをとりかえながら、汚れがしっかりとれるまで繰り返す。汚れたティッシュペーパーはやはり小皿に捨てる。
7.ベンジンによる輪ジミができないようにするため、丸めたティッシュペーパーに洗剤の水溶液をつけてそれを押しあて、また乾いたティッシュペーパーで吸いとる。
8.最後に、洗剤を完全にとり去る。ティッシュペーパーを丸めてきれいな水をたっぷりしみこませ、シミをとった部分に押しあてる。
9.それをまた、乾いたティッシュペーパーを丸めて吸いとる。これを繰り返して、水分を完全にとり去るようにする。
10.湿気や洗剤などが少しでも残っていると輪ジミになってしまので、ダメ押しで(6)~(7)の作業をもう1回繰り返す。周辺も含めて毛足をかきわけながら、乾いたティッシュペーパーをしっかりと当てること。
!注意!
○カーペットなどを傷めるのでドライヤーなどは使用しない。
○ベンジンには引火性があるので、使用するたびにこまめにフタをしめてください。くれぐれも瓶を倒したりしなように。また使用中はお部屋の換気をよくしてください。
○ベンジンを使用するため、小皿はプラスチック容器などでなく、必ず瀬戸物を用意してください。
床(フローリング)のセルフメンテナンス
Q.カーペットのふだんのお手入れは?
A.基本は掃除機でじゅうぶんです。
ふだんは、電気掃除機をカーペットの毛並みにそって、毛足を痛めないようにしてかけます。掃除機ではとりにくい毛髪やわたぼこりなどは、市販の粘着ローラーや洋服用のエチケットブラシを利用しても便利です。
汚れが目立ってきたら
部分的な汚れは、市販のカーペット用洗剤か住居用洗剤をうすめたぬるま湯で、ぞうきんがけをします。ぞうきんはかたくしぼり、汚れの外側から内側に向けて、目なりにたたくようにしてふきます。全体が汚れてきたら、市販のカーペット用洗剤などを使って簡易クリーニングすることもできます。
家具の重みでできたくぼみをとるには
家具を移動したあとのくぼみは、スチームアイロンを利用すると、きれいにとることができます。
一般のカーペットの場合では、水でうすめた洗濯用の柔軟仕上げ剤をつけてから、スチームアイロンをかけます。また、カーペットが純毛の場合は、柔軟仕上げ剤は使わず、中程度の温度設定にしたスチームアイロンを直接表面につかないように、宙に浮かした状態であてます。
Q.フローリングのふだんのお手入れは?
A.乾拭きが基本です。
フローリングの大敵は湿気です。ふだんは掃除機をかけたり、モップやぞうきんで乾拭きします。水ぶきをしてしまうと、表面のワックスがはがれるばかりか、木の表面にほどこされている塩ビ系のコーティングがとれてしまいます。ワックスは1カ月に1回をめどにをかけるといいでしょう。あらかじめ床の汚れをとってから、木目にそって、薄くつやを出す程度にかけます。仕上げに乾拭きをじゅうぶんにしてください。
Q.フロアシートのふだんのお手入れは?
A.洗剤は中性洗剤を使います。
フロアシート(長尺塩ビシート)は、水がこぼれやすいところに使われているわけですが、シートの防水性は完全ではありません。水分をこぼしたらすぐにふきとりましょう。ふだんの手入れは掃除機などで十分です。ときどき乾拭きをしてキュッキュッと磨けばツヤが長持ちします。
もし汚れたら住まい専用の中性洗剤をうすめ、ぞうきんで拭いてください。水分が裏に回るとシートが浮き上がってしまうので、ぞうきんは固くしぼってください。汚れをつきにくくするためにも、月1回程度のワックスがけは有効です。フロアシート専用のワックスを利用してください。
クロスのセルフメンテナンス
Q.クロスがはがれてしまったら?
A.接着剤を使います。
クロスは織物ですから、継ぎ目部分がほつれることがあります。ほつれたところがあったら、千枚通しの先などで少しずつ捨て糊をして固めます。
ビニールクロスがはがれたときには、まず下地の汚れをとり、酢酸ビニール系接着剤を水で薄めたものを塗り込んで貼ることができます。
Q.ビニールクロスにカビが生えてしまったら?
A.まずは住居用洗剤で。
カビが生えてしまったら、まず住居用洗剤を薄めて使ってください。それでもだめなら、塩素系漂白剤や市販のカビとり剤を利用します。
1.まず住居用洗剤をぬるま湯でうすめたもので拭きとってみます。それでもとれない場合は、塩素系漂白剤や市販のカビとり剤を使いましょう。
2.カビをとったあとは、その部分を乾拭きしておきます。さらに市販のカビ防止剤をつけておくと、ある程度の予防効果が期待できます。
Q.クロスのふだんのお手入れは?
A.はたきや掃除機で汚れを取り除きます。
クロスの場合
表面のほこりや汚れは、はたきをかけたり、掃除機に壁専用のノズルをつけて汚れをとります。ナイロン性のはたきは静電気でほこりを吸い取ります。
部分的な汚れは、消しゴムや食パンの切れはしで落とすことができます。それでも落ちないときには、住居用洗剤をぬるま湯でうすめたものを布につけ、上からたたくようにし、仕上げにきれいな布でふくとよいでしょう。
ビニールクロスの場合
ふだんは、はたきや掃除機をかけてほこりを落とします。部分的な汚れには、かたくしぼったぞうきんで水拭きします。手あかなど落ちにくい汚れには、住居用洗剤をぬるま湯でうすめたものを布につけ、上からたたくようにします。水分がクロスの裏側に入るとはがれの原因になるので、くれぐれもぞうきんは固くしぼって使用してください。
開閉棚のセルフメンテナンス
Q.戸棚の開閉がぎくしゃくしている。
A.スライド蝶番を調節しましょう。
最近の戸棚類の扉の蝶番には、スライド蝶番が採用されているのがふつうです。ネジが緩んで扉がガタついたり、ぴったり閉じなくなってきたら以下の要領で調節してください。ドライバー1本でかんたんにできます。
調節ネジが2つだけのタイプもあります。この場合は、ふつう外側のネジが前後の調節、内側のネジが左右の調節になっています。
左右の調節
このネジを回すことによって、扉を閉じた状態での扉の位置を左右にずらすことができます。両方の扉を閉じた間に隙間ができているような場合の調節に使います。左に回すと、扉が左に移動します。扉が斜めになっているようなときには、上下のバランスを変えながら調節すればいいでしょう。
前後の調節
3つあるうちの中央のネジが前後の調節。扉が手前に浮いてきたようなときに使います。いったんネジを左に回して緩め、扉を前後に動かして調節してから、改めてネザを右に回して締めます。
上下の調節
扉が下にずれているようなときに使います。いったんネジを左に回して緩め、扉を上下に動かして調節してから、改めてネジを右に回して緩めます。
窓のセルフメンテナンス
Q.窓ガラスのふだんのお手入れは?
A.こまめに掃除しましょう。
窓は、ガラス用のクリーナーなどを使ってぞうきんでふきます。仕上げに水を固くしぼったぞうきんでふいて、洗剤が残らないようにします。敷居のそうじは、歯ブラシなども利用できますが、掃除機につけるタイプの専用ノズルを使っても便利です。
Q.網戸のふだんのお手入れは?
A.スペースがあればはずして水洗いを。
理想的な掃除方法は、取り外して水洗いすることです。浴室やマンション敷地内にある共同の水洗い場へもっていって洗いましょう。バルコニーは防水になっていませんから、そこで水洗いすることはできません。漏水して階下の方に迷惑をかける恐れがあります。取りはずすのが面倒であれば、ムース状の泡で汚れを溶かし出す市販の網戸専用クリーナーも便利です。
※網戸をはずすには、上部についているハズレ止めピースのネジをゆるめ、金具を下にスライドさせます。
キッチンのセルフメンテナンス
Q.シンクの排水が流れにくい
A.排水トラップのなかをみましょう。
水が流れにくくなったら、生ゴミトラップだけでなく、排水トラップもはずしてなかを点検してみましょう。この部分に生ゴミなどが詰まっているのかもしれません。
それでも流れないときは、ラバーカップを使います。
1.まず排水トラップをはずし、なにか詰まっていないか点検。
2.それでも流れなければ、ラバーカップを使用する。ただし、ラバーカップを勢いよく使いすぎると、排水管がつながっているために、洗面所・バスルーム・洗濯機置き場などの排水口から水が逆流してくる恐れがあります。注意してください。
Q.水道の水が止まらなくなってしまった。
A.まず止水して調べてみましょう。
水が蛇口からポタポタともれたり、止まらないといった事態は、パッキンの隙間にゴミが詰まっているか、パッキンが古くなって磨耗していることが考えられます。まず止水栓をしめてから蛇口を分解し、パッキンの具合をみてみましょう。
ゴミでつまっている場合は、それを取り除けば直ります。水道水はきれいなものですが、たとえば赤水が出たりすると鉄分がこの部分でせき止められ、長い間にはつまったりするのです。パッキンが磨耗して交換が必要である場合、シングルレバーのパッキンは入手が困難です。お手元の取扱説明書などにある窓口に連絡してください。混合水栓の蛇口のパッキンは普通に市販されています。それを買ってきて交換すれば、簡単に直せます。
Q.水の出がよくない。
A.ひとつひとつチェックを。
水の出が悪い場合には、3通りの原因が考えられます。下記の順番に従ってチェックしてみてください。
1.まず止水栓や元栓が開いているかどうかを確かめる。栓のあきが不十分なのかもしれない。止水栓や元栓がきちんと開いていることが確かめられたら、蛇口を調べるので、栓をいったん閉める。
2.蛇口本体のつまりを調べる。水にせよお湯にせよ、不純物が詰まっていたら、このパッキン部分でせき止められてしまう。
3.パッキン周辺に不純物がなければ、最後の出口であるところの整流網の詰まりを疑う。指で回せばかんたんにはずれるので、網の目が詰まっていないか調べる。
Q.水を止めるとドーンと音がする。
A.圧が高いのかもしれません。
蛇口を閉めるとドーンと鈍い音が聞こえてくることがあります。ウォーターハンマー現象と呼ばれているもので、水圧の急激な変化で生じます。まず蛇口の開け閉めを急な動作で行わないことです。それでも音がするなら、元々の水圧が高すぎるのかもしれません。止水栓や元栓を少し閉めて調節してみてください。
水回りにそろえたい工具たち
水回りの作業では、いくつかの工具が必要になってきます。ネジやバルブを回すためには、それぞれ適した工具があります。
たとえばコンビネーション・プライヤーとモンキーレンチがあれば、ひと通りのことはできてしまいますが、ネジ山などをすり減らしてしまう恐れがあります。ウォーターポンプ・プライヤーや各種サイズの揃ったスパナもあればベストです。
Q.レンジフードファンのふだんのお手入れは?
A.フィルターをこまめに洗いましょう。
レンジフードファンのフィルターはネジ止めしてあったり、ずらすだけではずれるものもありますが、いずれにしても簡単に取りはずせます。汚れたら、これを取りはずして洗ってください。フィルターに汚れがつくと、換気能力が落ちます。中のファンも取り外して掃除することはできますが、ふだんの手入れとしてはフィルターだけでじゅうぶんです。
1.フィルターをはずすと、その内側にはファンがあります。換気扇を回しながらフィルターをはずすのは、危険です。
2.エアコンのフィルターと同じ要領で、つまみを持って上にずらすだけでフィルターは外れます。
3.このフィルターを洗剤で洗ってきれいにします。使い古した歯ブラシが便利です。
市販の使い捨てフィルターについて
フィルターの表面に装着できるようになっている、使い捨てのフィルターが市販されています。つまりフィルターのフィルターというわけです。これは汚れたら捨てて新しいものにつけ替えればいいのでかんたんですが、火災の危険性を考えるとあまりお勧めできません。材質は不燃性でも、料理の油がこのフィルターにつき、その油に引火する危険性もあるので注意が必要です。もともと備わっている金属製のフィルターのみを使用して、ときどき掃除するのが望ましいでしょう。
Q.ガスレンジのふだんのお手入れは?
A.必ず元栓を閉めてから。
安全のためにもこまめに掃除をしましょう。プレートに脂がたまっていたりすると引火する危険性もあります。なお掃除や点検の際には、まず火を止めて、そしてガスの元栓を必ず閉めてから行ってください。
また、火の勢いが弱い、おかしい、あるいは点火しないといったトラブルは、以下のポイントを点検してみてください。
1.点火しないのは、電池がなくなっているのかもしれません。点火のときのパチパチというスパーク音が遅くなってきたら、電池を交換してください。
2.バーナーキャップの▼の印と、バーナー本体のくぼみの位置が合っているか点検してください。
3.バーナーが吹きこぼれた煮汁などで詰まっていることもあるので、キリや歯ブラシで掃除しましょう。特に溝の部分は念入りに掃除してください。
Q.シンクのふだんのお手入れは?
A.排水口はいつも清潔に。
シンクの排水口は、まず生ゴミを流さないための生ゴミトラップというカゴがあり、その下に水をためておく排水トラップがあります。排水トラップは、常に一定の水をためて、排水管の臭気が上がってこないようにしています。生ゴミトラップは、ゴミがつまらないよう、毎日点検しましょう。
市販の水切りネットを組み合わせて使うと、処理が楽になります。排水管のゴミを溶かしてくれるパイプ洗浄剤も効果的です。
※廃油を流すのは、排水管がつまる原因になり、環境をも汚染してしまいます。ぜったいにやめましょう。
トイレのセルフメンテナンス
Q.トイレの水が流れっぱなしになってしまう。
A.止水栓を閉めてから、原因をチェックします。
水が止まらないとき、まず止水栓を止めるという作業からすべては始まります。それでとりあえず水は止まるので、そこから落ちついて対処すればよいのです。
水洗トイレのタンクはレバーをひねることによって水が流れますが、レバーをひねるということは、すなわち浮きゴムという“フタ”を開けることです。ここからタンク内の水が流れます。タンク内の水が減っていくと、水に浮いている浮き球が下がります。するとボールタップ部分が作動して新たな注水がなされ、浮き球が所定の高さまで上がってくると水が止まるしかけになっています。こうしていくつかの部品が連動しているため、水が止まらないトラブルには複数の原因があり、それぞれ対処法がちがってきます。
1.浮きゴムに固形洗浄剤がはさまっている
2.浮きゴムがはずれている
所定の位置に浮きゴムをセットします。老朽化しているようであれば新しいものに取り替えます。日曜大工店などで購入することができます。
3.鎖が浮き球にからまっている
4.浮き球のアームが折れている
単に浮き球のアームがはずれている場合はアームをねじ込めば直りますが、浮き球のアームが折れてしまうと、お手上げです。しかるべき窓口に連絡して修理を頼むしかありません。
5.一見して原因が分からない
どのケースにも当てはまらない場合は、ボールタップ弁のなかのパッキンが磨耗している可能性が高いです。この場合は専門業者に修理を依頼するしかありません。
Q.トイレの水が流れっぱなしになってしまう。
A.ひとつひとつチェックを。
まず便器内に残っている汚物を流します。バケツなどに水をくんできて流せば汚物は流れますから、そうしてから点検しましょう。
01.タンク内にも水がたまっていない場合
断水の可能性を探る
断水しているのであれば、当然水は出ません。水道などから水が出るか確かめます。
止水栓は閉まっていないか
止水栓は硬貨などでも回せるようになっているので、子どもがいたずらしたりすることもあります。止水栓を反時計回りに回して開けてみます。
浮き球が引っかかっていないか
浮き球やそのアームがどこかに引っかかり、自由に動くようになっているのかもしれません。取り付け位置を調節してみましょう。
3つのうちのどれでもない
上記3つのいずれでもなければ、ボールタップの故障の可能性が高いです。専門業者に連絡するしかありません。
02.タンク内には水がたまっている場合
タンク内に水がたまっているなら、タンクからの排水がうまくいっていないわけです。レバーと浮きゴムをつないでいる鎖が切れていないか確認してください。
鎖が切れていると、浮きゴムが上がらず、排水されません。応急処置として、針金やビニールのひもで代用することもできます。
Q.便座が詰まってしまって水が流れない。
A.たいていはラバーカップで解決します。
便器がつまったとき、大切なのがあわてて水を流さないこと。便器から水があふれてしまったりしたらたいへんなことになります。まず止水栓を閉めて、便器内にそれ以上水が流れないようにしてから、対処します。ラバーカップを用いれば、たいてい解決します。
ラバーカップはいざというときすぐに使えるように、保管場所に気をつけましょう。
1.便器の排水口に空気がもれないようにラバーカップを押しつけ、1回ひきます。それでもダメなら数回繰り返します。あまり力を入れると汚物が飛び散ってしまうので慎重に。つまりがとれたようであれば、バケツに水をくんできて少しずつ流し、確認しましょう。
2.ラバーカップを軽く数回試してだめなら、力を入れてやってみます。そのためには、汚物が飛び散らないように大きなビニールに穴をあけ、そこにラバーカップを通し、便器にセットします。
3.ビニールが完全に便器をおおっていることを確かめて、ラバーカップを排水口に押しつけて引く動作を力強く繰り返します。これでも詰まりがとれなければ、専門の業者に連絡しましょう。
洗面所のセルフメンテナンス
Q.排水が流れにくい。
A.まず排水口の点検をします。
洗面化粧台の排水口が詰まるとすれば、原因はたいてい髪の毛です。排水口のフタをはずすと、髪の毛などが流れないようにせき止めるしかけがあるので、ここをふだんから掃除しておきます。また市販のパイプクリーナーなども有効です。詰まってしまったら、以下の手順で直してください。
1.排水口のフタを取ってみる。
2.髪の毛などがここにたくさんからまっていれば、これが原因。それらを取り除けばいい。
3.それでもうまく排水しないようであれば、ラバーカップを使う。オーバーフローを片手でふさぎ空気がもれない状態で使用することがポイント。
4.ラバーカップでもとれないなら、S字トラップを直接点検してみる。
ウォーターポンプ・プライヤーを使って、S字トラップのネジを回す。
上下ともゆるめるとS字トラップがはずれる。
トラップ内をのぞいてみて、なにかが詰まっていたら取り除く。
お風呂のセルフメンテナンス
Q.排水が流れにくい。
A.ふだんから排水口はきれいに。
バスタブや洗い場の排水口も、髪の毛などが原因でつまります。ふだんからこまめに掃除をしたり、パイプクリーナーなどを使ってきれいにしておきましょう。
○バスタブはパイプクリーナーが便利。つまったときに使用するよりも、定期的に使って予防しましょう。
○洗い場の排水口は髪の毛などがたまりやすいところ。こまめに取り除きましょう。
○ふだんは排水口部分の手入れだけでもいいですが、時には内ブタもはずし(反時計回りに手で回してはずす)、奥のほうも点検して清潔にしておきましょう。
またメーカーによっては、洗い場の排水口の内ブタが取り外せないタイプのものがあります。取り扱い説明書をよく読んで掃除をしてください。
洗濯機置き場の排水口も忘れずに
つい見落としがちですが、洗濯機置き場にも排水口はあります。ときおり点検して掃除しておきましょう。